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あほ犬日記 blog


by ahoinu_diary

1/1(土)

大晦日、紅白はつまらなかった。最近流行ってる唄は、なんか教訓臭くって行けませんな。パフュームは、可愛かったけど。すき焼きをやったら、肉を食い過ぎて酒もつまみも、全然食えなくなってしまったなぁ。もう、肉はあんまり食えません。
 さて、年が明けて今年も映画を観よう。テレビは全く面白くないのよね。
 黒人映画の中には、日本で発売されていない重要作というのが、結構ある。輸入のVHSやDVDに頼らねばならないのだが、なんせ字幕無しなので、わかりゃしない。わかりゃしないが、観てみたいのですねぇ・・・。
 一本目は「Leaning Tree」1969年の作品で、ハリウッドの大手映画製作会社が、初めて黒人監督を起用したのがこの作品。「知恵の木」という邦題で日本公開もされたらしい。その監督はゴードン・パークス!「ライフ」誌の写真家として、名を馳せていた人らしいが、詩や小説も書く。自身が書いた自叙伝的小説の映画化で、少年が日常の中の差別や不条理を通じて、成長してゆくといった感じ。全体にセンセーショナルなはったりなどは一切無く、丁寧にじっくりと描かれていて、ちゃんと字幕付きで観たいもんだ。
 ゴードン・パークスは、二作目で「黒いジャガー」という大ヒットアクションを撮り、70年代黒人映画ヒーローのアイコンを作り上げる。そしてこの映画で製作会社と喧嘩をして映画監督を辞めてしまったのでした。その後「Leadbelly」というレッドベリーの伝記映画を撮っていて、是非観たいのだがこれは未見。「スーパーフライ」という、こちらもブラックムービーの古典となっている映画を撮ったのは、ゴードン・パークス Jr.で、実の息子だ。
 二本目は「マンデラとデクラーク」(1997)。なんだかんだいって、やっぱり格好いいシドニー・ポワチエが、ネルソン・マンデラに扮するテレビ用ドラマ。「インヴィクタス」を始め、ここ数年何本かマンデラ映画があるんよね。「インヴィクタス」ではあまり触れられていなかった、奥さんとのことが結構出てきます。デクラークというのは、旧政権最後の大統領で、二人が折衷してアパルトヘイト撤廃、総選挙にてマンデラ政権の誕生へとなるわけだ。1993年、二人は揃ってノーベル平和賞をとっているのだが、負けてノーベル賞をとったデクラークさんというのは、なかなか複雑な立場ですねぇ。
 3本目の「ある夏の日」もテレビ作品。ピーター・フォーク扮する老人ひとりでやっている田舎のデリカに、ニューヨークのハーレムから黒人少年がホームステイにやって来る。二人の心の交流が描かれる映画なのだが、最初ピーター・フォークの声が小池朝雄じゃないので落ちつかないな。黒人少年は、アーロン・ミークスという子で、テレビ版の「ソウル・フード」に出ているらしい。なかなか達者な子です。そして、その母親役で、ルビー・ディー!!50年代からずっと脇役で活躍し続ける名優です。「アメリカン・ギャングスター」でオスカーにノミネートされたのにとれなくて残念。あげたかったなぁ・・・。
 夜も更けて4本目はカミさんも寝たことだし、頑張って字幕無しのヤツを一本観よう。「Water Melon Man」。このタイトルを聞くと、どうしてもハービー・ハンコックの大ヒット曲を思い出してしまうが、こちらは1970年のメルヴィン・ヴァン・ピープルズ大手製作会社初にして最後の作品。やはりこの後、会社に不満を憶え自主製作で、あの「スゥイート・スゥイート・バック」を撮り、大センセーションを起こす。
 本人が不満だったという「Water Melon Man」だが、これは快作だと僕は思う。中流階級の陽気な白人サラリーマンが、ある朝起きると、突然黒人になっている。昨日まで白人だった男が、突然肌の色ひとつで受けることになる差別を、皮肉りまくるわけだが、それをコメディーにしちゃうところがメルヴィンの格好いいところ。そして、最初の白人シーンを、ゴッドフリー・ケンブリッジというエネルギッシュな黒人役者が白塗りをして演じているのだ。
 昔のハリウッド映画には、白人が顔を黒く塗り、おどけた黒人として出演している事が少なくない。ブラック・フェイスというのだが、実は黒人芸人もこれには参入していて、更に顔を真っ黒に塗り、訛りもきつくして頭の足りない田舎者を装い、笑いを取っていた。これを痛切に皮肉ったスパイク・リーの「Bamboozled」(これも字幕はないが・・・)という問題作もあるが、メルヴィンは、オープニングから、黒人役者に白塗りをさせるという強烈な一撃でぶっ飛ばしてしまった。全編、ファンキーでゴキゲンでブラックなコメディーです。さすがっ!!
by ahoinu_diary | 2011-01-10 21:04 | 2011.1